カメラは、限度はあれど設定を変えることで明るいものを暗く写したり、逆に暗いものを明るく写すことができます。
さらにストロボを使うことによって明るさをコントロールできる幅が大きく広がる。
ai Route studio様での撮影時、ブースの空き待ち時間に隣の部屋でちょっと撮ってこようという話になった。
その部屋がとても明るい雰囲気だったので、今から撮ろうとしているキャラクターにマッチしない。
この撮影会は練習という名目のため、そこまで気にするものでもなかったかもしれないが、できることならキャラクターの雰囲気に合わせて撮影したい欲はある。
今回の記事では、絞りを調整して露出を低くした場合において、環境光を遮断できるという効用とそのとき発生する弊害についてお話していきます。
「明るい場所でもこうすると暗い雰囲気で撮れるんだ」という内容です。
明るい部屋も絞れば暗くなる
モデル:茶々丸さん(@hayase_jimang)
- 絞り:F13
- シャッター速度:1/200
- ISO感度:100
- 焦点距離:44mm
カメラの設定は以上で、現像時にオレンジのストロボ光による肌への色被りを直し彩度を若干下げた。
この写真は目的のブースが使用中で待機していたとき、空き時間に隣のキッチンブースで撮影したもの。
スタジオ撮影においてはブース利用の待ち時間ができることも多く、その間に近場のブースで遊びがてら撮影することはよくあるって誰かが言ってた。今回のはまさにそれ。
たくさん撮りたいぼくにはありがたい話だ。
このキャラクターはFGOというスマホゲームに出てくる新宿のアーチャーのバーテンダー版。
モデルさんが高身長でスラッとしているので、衣装がすごく似合っている。
バーテン、しかもオジサマキャラということで、グラスがオレンジ色に煌めくような薄暗い雰囲気が似合うかな・・・とは考えていた。
しかしキッチンブースはなかなか明るい。
陽気にお料理をしてる日常系キャラクターが似合う感じの雰囲気。
これではバーテンというより料理のお兄さんという感じがしてしまうため、どうにか明るい部屋を暗く写したいと思った。
写真に写る部屋の明るさをコントロールするいちばんの手段
写真に写る部屋の明るさをコントロールする手段として、一番はじめに確認したいことは環境光を制御できるか?である。
初めての撮影場所で慌てていると、照明スイッチってのを見落としがち、というか見落とした。
写真の現像をしていて、絵に写り込んでる照明スイッチを見てやっと気付いた。
普通は部屋の明るさを下げたいと思ったら「じゃあ電気消そっか」ってなると思うんだけど、このときのぼくは「じゃあカメラの露出をアンダーに振るわ」ってなってしまった。
普段家では照明を付けたままブツ撮りしているせいだ。
カメラやってると常識が欠如してくるのでみんなも気をつけて欲しい。
とは言えそれではこの記事のテーマとならないので、以降は部屋の環境光が操作できない前提で反省しつつ写真を振り返る。
カメラで行う露出調整
環境光をコントロールできず、なおかつ明るい場面を暗くしたいときは、カメラで以下の操作をする。
- 絞り→絞っていく
- シャッター速度→速くしていく
- ISO感度→低くしていく
ストロボを使う場合は、ストロボ同調速度に気を付けないと幕切れというシャッターが写真に写り込んでしまう現象が発生する。
例えば、SONYα7RⅢでNEEWERのTT560ストロボを使う場合、シャッター速度を1/200より速くすると幕切れが発生する。
ISO感度は低くできる限度があるし、ともすれば絞りをどんどん絞っていくことになる。
ライブビューで部屋が真っ暗になれば、ほとんど環境光に影響されていない設定だ。
上の写真はF13、シャッター速度1/200、ISO100。
シャッター速度はストロボが幕切れしないギリギリまで速くし、ISO感度も低くする。その後絞りを絞ってF13まで上げたら室内灯で明るかったキッチンを真っ暗にできた。もう少し明るくても環境光の影響はほとんど無いと思う。
この状態でストロボを使えば、ストロボ発光だけでライティングができる。
先ほどの設定で、オレンジのカラーフィルターを挟んだストロボを設置すると、少しもバーっぽい雰囲気にすることができた。
しかし、絞る(F値を上げる)ということは、背景の絵の写り方に影響してくる問題がある。
これが白ホリや黒ホリでやるブツ撮りなら問題ないが、背景にものがある状態だと背景がシャープすぎて邪魔になることもある。
F値を上げれば部屋は暗くなるが、背景までくっきりシャープになる
絞りを絞る(F値を上げる)と被写界深度が深くなり、全体にピントが合ったカリカリとシャープな写真になる。
メインのモデルがシャープなのは良いのだけど、背景までくっきり写るので画面がややうるさくなってしまう。
もちろん、背景がイメージ通りでキリリっと写したいときは問題ないのだけど、今回のケースではモデルさん背後の格子棚をあんまり目立たせたくなかった。
このようにF値を上げると目立たせたくないものが目立って存在感が出てしまう作用がある。
くっきり写ってしまう背景を目立たせたくないときどうするか?
背景を目立たせたくない場合どうすればいいか、これまで読んだ本や経験から以下の方法が取れる。
- 背景に光が届かないようにする
- モデルさんを大きく写す構図にする
- 背景に目がいかないポージングにする
- カラーフィルターで雰囲気を良くする
- 編集でなんとかする
背景に光が届かないようにする
ストロボの光だけでライティングする場合、単純にストロボの光が届かないようにすれば写真には現れなくなる。
被写体と背景の距離を取れば、ストロボ光は届かなくなるので背景が暗く落ち込み目立たなくなる。
ボカして目立たなくするのと違い、暗さで落とし込む方法なので距離の撮り方によっては黒ホリで撮ったようになる。
モデルさんを大きく写す構図にする
写真における背景の面積を減らそうという考え。
ウエストアップ〜バストアップとかにすれば大きく写ったモデルさんに目がいくので背景が気になりにくい。
背景に目がいかないポージングにする
これは意識したわけではないのだけど、モデルさんのポージングによっても背景に視線が行きにくいなって写真を見返していて感じた。
例えばこのポーズ。
画面の中の三角構図部分に視線誘導されるのであまり背景の存在感が気にならない。気がする。
ネタ写で申し訳ないんだけどこんなのも。
動きのあるポージングだとモデルさんに視線が行きやすい。
カラーフィルターで雰囲気を良くする
カラーフィルターを使って背景に色をつけることで雰囲気が良くなる場合もある。
この壁や格子棚はホワイトで、そのまま写すと少し寂しい感じかんだけど、オレンジ色にしたら多少雰囲気が良くなった。
編集でなんとかする
レタッチに抵抗がなければ、目の行きやすい不要物を消し込むことも選択肢の一つ。
例えば電気のスイッチみたいな、リアリティのありすぎて興醒めするものをサッと消す。
Lightroomの現像ウインドウでスポット修正ブラシを修正モードで使う。
電気のスイッチ部分をサッとひと撫ですればこの通り。
明るい部屋でも絞れば暗くできるまとめ
ちょっとした待ち時間を使って撮影を行うことがある。
そのとき、キャラクターに合った雰囲気(明るい・暗い)はある程度コントロールできる。
室内が明るすぎる場合は、まず照明を調整できるか確認する。
照明が調整できない場合はカメラの設定で露出を調整する。
- 絞りを開ける(F値を下げる)
- シャッター速度を遅くする
- ISO感度を上げる
- 絞りを絞る(F値を上げる)
- シャッター速度を速くする
- ISO感度を下げる
そのとき、絞りを操作すると背景の見え方が変わってくる。
絞るとシャープになるが、目立たせたくないものまでくっきり写ってしまう弊害がある。
そんなときは以下の方法で背景を出来るだけ目立たないようにすることができる。
- 背景に光が届かないようにする
- モデルさんを大きく写す構図にする
- 背景に目がいかないポージングにする
- カラーフィルターで雰囲気を良くする
- 編集でなんとかする
特にカラーフィルターは1セットあると何かと遊べるので便利だ。
このカラーフィルターはお手頃な値段ながらストロボ光の色を変えるものや色温度を調整できるものが計20枚も入っている。とてもおすすめ。
今回は照明の見落としという失敗がもとになって、カメラの設定をこねくり回したがこんな経験も多分あとで活かせる・・・と思う。